2013年11月20日水曜日

【都々逸ヱレキ冊子】『唄う阿呆に詠む阿呆』発行によせて

 小早川さん(@dodoitsu_)プレゼンツによる、都々逸電子書籍が本になりました。ものすごくしっかりと作り込まれていて、初めてとは思えない出来と注文数に大手サークル誕生の予感がします。もうコミケとか出ちゃいなよ!
 こうして見るとツイッター上で都々逸をやっている方々のレベルの高さを実感します。都々逸は庶民文化と言いますが、実はわたしは「上手いこと言わなきゃ!」という気持ちが先走ってしまい、それをなかなか字数にリズムよく収めることができないのです。なので、特にどどどどいつが上手い人がいちばんすごいんじゃねーか、と思う次第でございます。
 さらに、何の予備知識もなく「七七七五ならいいのかな?」くらいの認識で都々逸を始めてしまった結果、わたしの歌にだけ川柳止めが多いことをここでお詫びしておきます。いくら自由とは言え、ずるずる残ったら粋じゃないですものね。今後気をつけます。



 書籍の中では題詠2本と神戸節(5節連作)、百人一首都々逸を担当させていただきました。ボツ作も含めて載せておきます。



題詠「道連れ」

尽きる時にはあなたも一緒 繋いだ指先解れさせ

裏切るならば殺す気でいて 言葉に刃物忍ばせる

細波が夏攫っていって藻屑となった恋に泣く

あなたとならば死んでもいいと思っていたのにひとりきり

落ちる頬紅 剥がれた闇があの日見つけた月隠す



歌詠み「嘘じゃない」

嘘じゃないとはよく言ったもの 最後のキスに口歪め

嘘じゃないなら殺して 君の愛って何か教えてよ

その口癖はもう聞き飽きた 「嘘じゃない」ならあの娘だれ?

嘘じゃないならこの手を取って 離したらもう許さない



神戸節「夏の恋」

そっと近づき指先少し舐めるようにして触れてみた

小さくふるえるうなじの汗は月の光に浮かぶ白

上目遣いであざとく誘う こっち向いてよ茶色い目

薄い口唇かすめた頬は甘いイチゴの味がする

きみの瞳は打ち上げ花火映しきらめく星になる



百人一首都々逸

3.愛しいあなたに逢えないままで永遠のような夜にひとり
 (あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む/柿本人麻呂)

31.吉野の里に降る白雪は静かな朝の月のよう
 (朝ぼらけ有明の月とみるまでに吉野の里にふれる白雪/坂上是則)

32.風がはらはら落とした紅いしがらみ川にとどまりて
 (山川に風のかけたるしがらみは流れもあへぬ紅葉なりけり/春道列樹)

33.散り急ぐ花だけがせわしく春の光に舞い踊る
 (ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ/紀友則)

39.篠の葉風にささめくようにしのびきれないこの恋は
 (浅茅生の小野の篠原しのぶれどあまりてなどか人の恋しき/参議等)

41.ひらひら舞って人に知られて秘めたつもりの恋す蝶
 (恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか/壬生忠見)

47.皆が忘れた場所にも秋が来たと知らせる八重葎
 (八重葎しげれる宿のさびしきに人こそ見えね秋は来にけり/恵鹿法師)

59.月は見ていた 夜明けまで来ぬあなたをぐずぐず待つ女
 (やすらはで寝なましものをさ夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな/赤染衛門)

88.一夜限りの恋に焦がれてひとりで眠るみをつくし
 (難波江の芦のかりねのひとよゆゑみをつくしてや恋ひわたるべき/皇嘉門院別当)

96.地に堕つ花のようにわが身もわびしく土に還るのみ
 (花さそふ嵐の庭の雪ならでふりゆくものはわが身なりけり/入道前太政大臣)

98.風のそよぎが秋の訪れ伝えて夏を祓う夕
 (風そよぐならの小川の夕暮れはみそぎぞ夏のしるしなりける/従二位家隆)




 素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました。これからも精進します。

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