2013年11月10日日曜日

【短歌】 地獄の沙汰も心次第で 【1から30】

制服が濡れることさえ憚らず雨と遊んだあの日が恋しい

大好きなロックとハニーを失ったあの日のわたしに戻るための歌

目を瞑り微睡みながら思うのは明日も笑っていられますように

さよならを言う暇もなく消えていたモラトリアムとあの青い熱

諦めるのはまだ早い俺たちはまだ旅の途中 二十の半ば

マカロンとあん肝ネギポン酢を肴にして旨い日本酒呑みたい

決められた三十一字に仕舞うのは心地良いのだ自由でなくとも

間違ってしまった道かもしれないが夢さえあればなんとかなるぜ

滔々と注がれてきた愛を煙たく思っていた十六、七の頃

鉛筆と紙さえあれば年の瀬の怠惰が世界を無限に拡げる

バスの横 陸上自衛隊が往く 制限速度を遵守しながら

幾百のテールランプが照らし出す帰り道はもうまっくらのやみ

たくさんの人、人、人の群れをなす 宇宙の塵のような日常

口唇にお砂糖乗せたお姫様 王子様探し夜を駆けるの

もう月に帰りたくない 地に足をつけてこの世で生きて死にたい

遠くから洗濯機廻る音を聴く 吸い込んでいく何もかもをも

真っ白なノートを前に一文字も書けないままに七日が過ぎた

雪降らぬ暖かなこの瀬戸内で知らぬ間に飼われていたペンギン

灰色の羽根撒き散らしペンギンは雪を知らずに大人になるの

盛り上がる胸の脂肪を撫でてみよ 汝のは魅力 我のは堕落

不安さえ呑み込む黒い夜に舞う小さな願いを君の元まで

噛みすぎて深爪してる指先がじんじん痛み秋風に凍む

無駄ばかり重ね重ねてミルフィーユ まるごと食べるさらば青春

真っ直ぐに現実を見ることもせず偉そうに夢語る馬鹿ども

高波の報せ聞く度島行きの船の欠航思い遣る夜

「死なないで」そういって欲しいのか君は今日も「死にたい」と呟いている

スタミナも非常識さも熱意さえ 高校生の自分に負けてる

さようなら マドモアゼルはマダムへと進化する日を待ち続けてる

「本当は漫画家になりたかったの」売れない小説家が嘆く現実(いま)

アイ・アム・ア・ロックンロール・スーパーマン!現実からは華麗に逃避!




【地獄の沙汰も心次第で】
 恋愛感情以外で自分の心がぐらっと揺れるとき、をテーマに、2011年6月から2012年2月まで詠んだ歌を集めました。何か辛いことがあったりしても、心の持ちようでポジティブにもネガティブにもなれるよね、という気持ちでタイトルはこのようなかんじに。
 ちなみに最後から三番目の歌について、「マドモアゼル」という呼称はフランス語で未婚の女性を指す言葉なのですが、2012年にフランスの公的文書で使用禁止になったそう。英語でも最近は「Mrs」を使わないように、死語になっていく言葉があるんだなーと思いながら詠んだのでした。

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